全国初の都市型複合施設誕生
昭和40年代後半、心身障害児者施設は身近な地域には極めて少ないという状況でした。「もし自分たちが病気になったり、先に死んでしまった時、この子はだれが面倒を見てくれるのだろうか・・」という不安が品川区内の心身障害児を持つ親を中心に強く訴えられ、親なき後の施設の建設が品川区福祉行政の重要な課題となりました。また、急速な高齢化社会の到来と核家族化の進行による家族介護機能の低下への対応も急務となっていました。
「生まれ育った地域、長年生きてきた社会でこれからも生活したい、人生を、生涯を全うしたい」と願うことは人間として当然のことです。この願いや強く大きな要望を現実にするために、従来にその例を見ない都市型の複合施設、品川総合福祉センターは誕生しました。
その中でも、「社会的に交流のある施設」という要望から、地域社会に開かれた、地域社会と共にある福祉施設として「地域とともに」という品川総合福祉センターの運営の基本理念が導き出されました。
昭和57年、社会福祉法人品川総合福祉センターが設立され、本施設の設置・運営の準備を進め、翌58年4月1日開所となりました。
地域とともに地域福祉「しなふくの伝統」
昭和58年開所より、「地域とともに」を理念に掲げ、地域福祉に特化した部署を設置しました。
当時、東京都内の社会福祉法人における単独地域福祉業務の設置は大変まれでした。
品川総合福祉センターは、社会福祉法人としての社会貢献、福祉サービスの拠点としての活動、
ボランティア活動実践の場として、
地域社会に広く貢献することを使命として地域福祉力向上を進めてまいりました。
平成12年社会福祉法が制定され、行政の中で地域福祉計画策定が推奨されて以降、地域福祉は社会福祉のメインストリームとなりました。
平成28年改正社会福祉法において、社会福祉法人の「地域における公益的な取組」の実施にかかる責務が明確化されておりますが、
品川総合福祉センターは引き続き、地域共生社会の実現に向け、より一層法人の専門性やノウハウ等を活かした多様な取り組みを行っていきます。
地域交流事業
地域住民と施設利用者との交流、相互理解を深めるために、「しなふく紅葉フェスタ」を主催し、多くの皆様のご協力とご支援をいただいています。
地域区民と施設利用者の合同教室の開催
生花や絵画、手話舞踊など趣味を通した地域交流の機会と地域住民と施設利用者との相互理解を深めるために、毎月、サークル活動を地域に開放しています。祭りなどの行事の際には、サークル活動の発表の場を作っています。
ボランティア受入れ・育成
ボランティア「しなふくの宝もの」
開所当時より、福祉施設には地域とともに活動すべき任務と責任があることを理念とし、地域に根ざした開かれた施設を目指しました。40年たった今、ボランティア活動歴40年の方がいらっしゃること、10年、20年と継続する方がいらっしゃることも法人の自慢であり、宝となっています。ボランティアは小学生から90歳代の方までいらっしゃいます。
「しなふく」の毎日は、ボランティアの皆様の笑顔で包まれます。人と人との交流、心のふれあい、そこにボランティアの輪が広がります。ボランティアは地域と施設をつなぐ人、そして風を入れる人、笑顔を運ぶ人。
今後も地域とともに、ボランティアの皆様とともに楽しみ、学び合い地域福祉力の向上を図ります。
ボランティア講座
初めてボランティアをする方、ボランティアの学習の場として、毎年ボランティア講座を開催しています。
ボランティアによるボランティア活動の支え合いが始動し、ボランティアグループも生まれています。それぞれの施設で活動した内容を伝え合い、相互にフォローアップし合う場が定期的に持たれ、法人との連携で、施設利用者に笑顔が広がっています。
ボランティア活動紹介
品川総合福祉センターでは、様々な場面でボランティアさんに活動いただいています。
品川総合福祉センターのほとんどの施設で、ボランティアさんを受入れており、施設によって、その活動内容は多岐にわたっています。生活の中で必要になる日常的な作業の間接的なお手伝いから、お話し相手や朗読、外出の付き添いなど直接関わるお手伝いなど、活動したい場所・時間で、興味ある分野で活動が可能です。ご自分の特技や技能を生かした活動を選ばれる方もいらっしゃいます。
福祉教育・福祉啓発
こどものつどい
開設当初から、福祉啓発・福祉教育の一環として、品川区内の小学生・中学生を対象に、さまざまな関わりを通して福祉施設の利用者との交流をする機会を企画しています。
高齢者や障害者とともに生きる地域社会を自分たちのこととして関心を持てるように、また命を大切にし、他人のことを思いやる心や優しさなど「生きる力」をはぐくむために開催しています。
車いす福祉講座などの体験講座
品川区内の小学校や中学校から依頼を受け、車椅子の取り扱いや、障害がある方への理解を深める学習を企画しています。
学習の後は、地域行事へ施設の利用者を車椅子介助して参加するなど、学習の機会を実践へつなげています。
地域社会の住民として、互いに助け合い、地域を支える意識を育てる機会となっています。
中学生・高校生・大学生の夏休み福祉体験ボランティアの受入れ
福祉に興味のある中学生・高校生・大学生からの要望を受け付け、夏休みに体験ボランティアの場を作っています。施設利用者と関わったり、夏の行事をともに楽しむ機会を通して、身近な社会体験をすることができます。
地域貢献事業
地域住民自治会への福祉出前講座
地域住民の福祉ニーズは多様化し、行政の公的サービスだけでは充足が厳しい状況です。品川総合福祉センターが福祉専門機関として、皆様の生活での困りごとに耳を傾け、地域福祉力向上のために講座を開催しています。
地域催事への協力参加・地域福祉への取組み
地域の夏祭りや運動会などの催事に、法人の看護師を派遣したり、法人として参加協力をしています。
また、地域防災訓練では、事前に地域の中学生に車椅子福祉講座を開催し、施設利用者とともに参加しています。
八潮地区の清掃活動にも参加し、地域の美化運動に取り組んでいます。
福祉用具・機器の貸し出し
車椅子等を地域住民に随時貸し出しをしています。
また、催事用の機器を地域の自治会等へ貸し出しをしています。
施設機能の地域開放
地域住民への情報提供・総合相談窓口
気軽に寄れるサロンの開放や、地域住民の福祉ニーズに応えたミニ講座を法人内各事業所で実施しています。